最近、田舎に「喫茶店」というよりはおしゃれな「カフェ」が増えていませんか?
都会から地方へ移住し、カフェを開業する人が年々増えていることが理由のようです。
メニューはもちろん、店舗の外観や内装、家具、インテリアにもこだわり、それぞれ個性を持ったカフェが多いため、田舎のカフェ巡りも人気です。
しかし未経験の状態で実際に田舎でカフェを開業するにはどのような手順で進めれば良いのか、また安定した収入が確保できるのか等、疑問や不安を感じる方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、田舎でカフェを開業することのメリット・デメリット、開業するまでの流れ、成功するためのポイントについて解説します。
どうぞ最後までご覧いただき、田舎でカフェの開業を検討している皆様の参考になればと思います。

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田舎でカフェを開業するメリット
これから田舎でカフェの開業を考える方にとって、まずは良い情報であるメリットを紹介していきましょう。
補助金を受けられる
地方への移住者に対し、家の建築の補助金や出産の奨励金、ビジネスを開業する人に対して地方自治体が補助金を給付する「全国自治体支援制度」という制度が設けられています。
対象者や給付金の額は自治体によっても異なりますが、例えば増加する空き家問題を解決するために空き家を購入して改装しカフェ等のお店や事業を開業する人を対象にした補助金を設置しているところもあり、最大で100万円給付されることもあります。
これらの制度を活用することで、初期費用を大幅に抑えることが出来る点は、田舎でカフェを開業する際の大きなメリットと言えるでしょう。
物価が安い
カフェを開く際に問題となる店舗の家賃。例えば東京都だと最低でも月に20万円以上はかかってきます。
特にオープンから売上の軌道に乗るまでの間は資金の余裕がなく、支払いに頭を悩ませることもあるでしょう。
しかし田舎に行くとまず物件の賃料がだいぶ下がります。古民家や空き店舗を活用すれば、更に家賃を抑えることが出来るでしょう。
加えて大きな物件なら1階をカフェに、2階は住まいとしてスペースを分けてカフェ兼自宅にすることも可能なので、別で家を借りるよりもかなり費用を抑えることが出来ます。
また、家だけでなく生活費やカフェで使用する食材等の費用も低く抑えられます。
近隣に農家があれば新鮮で美味しい野菜や果物を安く仕入れることができ、より魅力的なメニューを提供することが出来るでしょう。
口コミが広がりやすい
田舎は都会と比べて人とのつながりが強く、口コミの効果は絶大です。
まだ、地域の中にカフェの数も少ないため、お客様に「美味しい」「居心地が良い」といった感じてもらえれば、その家族や友人、知人たちにあっという間に広がり自然と集客が出来てしまいます。
しかし最初から何もせずに人が集まるわけではないので、地域住民の方々とのコミュニケーションを積極的に図ったり、イベントを開催したりしてまずはお店のことを話し、知ってもらう活動は必要です。
田舎でカフェを開業するデメリット
次に、田舎でカフェを開業する前に知っておきたいデメリットについても紹介します。
安定した収入の確保が難しい
人気の高い田舎のカフェですが、実は「田舎でカフェをオープンさせても儲からない」と言われています。
都心では人も多く、さまざまな集客方法を行うことも出来ますが、田舎はそもそも人口が少なくお客さんの数にも限度があるでしょう。
集客できなければカフェは失敗してしまいます。
カフェの営業だけでは売上が見込めず経営が難しい場合は、例えばコーヒー豆の通販や雑貨の販売、副業などカフェとは別の収入源を確保する必要があります。
カフェの需要がない
都会では食事の後や仕事の打ち合わせ、読書やちょっとした休憩等にカフェが気軽に利用されていますが、田舎ではお店でお茶をするのではなく、誰かの家にお茶やお菓子を持って集まることの方が多く見られます。
そのため、飲食店としても利用できるようなメニューの設置や、店舗を地域住民の方の憩いの場所として使ってもらえるスペースとして提供する必要があります。
地元の農家で採れた野菜を使ったランチメニューや試食会、コーヒーの試飲会、コーヒーの淹れ方講座などカフェを知ってもらうイベントの開催や、また同じように田舎でカフェの開業を希望している方に向け、勉強会や説明会を実施するのもおすすめです。
幅広い年齢に向けたメニューが必要
カフェと言えばコーヒーと軽食、スイーツが定番のメニューですが、田舎では若い方だけでなく高齢者や小さな子ども連れの家族もお客様として呼びこまなくてはなりません。
そのため若者向けのメニューだけでは需要がなく、幅広い年齢層に合ったメニューや商品の考案が重要になってきます。
また、価格の設定も都会と違い、田舎の物価に合わせて安く単価を設定する必要があるでしょう。
地域の人と交流する中で、どんなものを食べたいか、飲みたいか、いくらなら注文するか等をヒアリングしたり、他にもどんな雰囲気の空間なら居心地が良いか、どんな椅子なら座りやすいか、営業時間は何時頃なら来やすいか等も考慮して取り入れていきましょう。
田舎でカフェを開業する流れ
田舎でカフェを開業する際の一般的な流れを以下、紹介します。
1.事業計画
カフェに限らず新たにビジネスを始める場合、事業計画をしっかりと立てることが重要です。
カフェのコンセプトや初期費用、運転資金、オープンから黒字化するまでの期間、売上の予算などを計算しましょう。
それにより適切な1日に必要な売上や価格設定、客単価も設定できるようになります。
また、店舗の改装や設備、備品の購入費用も忘れずに計算しておきましょう。
2.資格の取得
カフェを開業するには飲食店の営業許可が必須です。
その際、食品衛生責任者の資格を持った人が最低1人、店舗内に配置しなくてはなりません。
保有しているスタッフがいなければ採用するか自分で取得する必要があります。
また、30人以上収容できる規模の大きい店舗の場合は防火管理者の資格が必要です。
3.物件探し
カフェを開業するにあたり重要となる物件探し。その中でも立地は非常に重要な要素です。
安いから、素敵な建物だから、と安易に決めてしまわず、近隣の調査をしっかり行って慎重に探すようにしましょう。
4.リノベーション
良い物件を見つけ契約したら、必要なリノベーションを行います。
居抜き物件の場合は必要な設備を一から整える必要がありますし、築年数の古い建物の場合は配管などの取り換え工事も必要となり、その分の費用や期間もかかります。
相談しながら一緒に修繕するポイントをチェックできる業者と契約することで、安心して依頼できるでしょう。
また、費用を抑えるためにテーブルや看板など、自分でDIYできそうな部分があれば挑戦してみることもおすすめです。
自分の手で作ったお店はきっと愛着も沸き、モチベーションにもつながるはずです。
5.必要な許可申請、手続きを行う
リノベーションを進めながら、飲食店営業許可申請の手続きも行います。
飲食店に必要な設備が揃っているかもチェックされますので、事前に保健所に行って基準に沿っているかの確認もしてもらいましょう。
その後必要な書類を揃えて手数料を添え申請します。
後日食品衛生監視員の立ち会いのもと現地調査が行われ、基準を満たしていると数日程度で許可証の交付を受けることが出来ます。
この許可証があれば、調理、アルコールの提供も可能です。
詳細は自治体によって異なることもありますので、管轄の保健所に問合せをお願いします。
6.家具、備品選び
カフェに置く食器、家具を選びます。
カフェは雰囲気が大切なので、コンセプトに合わせた食器、家具選びを行いましょう。
費用を抑えるためにリサイクル品の活用やDIYを取り入れることもおすすめです。
ただし、クッションやファブリック製品は新品でないと清潔感が損なわれてしまうため
注意しましょう。
7.集客、宣伝
集客や宣伝等の営業活動はカフェをオープンする前から始めましょう。
最近は無料で出来るSNSでの集客が当たり前に行われます。全国の人に広く知ってもらうためにもぜひ活用して下さい。
お店作りの段階から写真や動画を投稿することもおすすめです。
他にもポスターや看板、チラシを作り配布する方法も複数取り入れてみましょう。
田舎でカフェを開業し成功させるためのコツ
それでは最後に、田舎でカフェを開業し成功させるために必要なのことをまとめます。
ニーズの把握
都会では人気のメニューだからといって田舎でもそのまま人気が出るとは限りません。
最初は「都会の人がおしゃれなカフェをオープンさせた!」と話題になって興味本位で人が集まっても、それを続けていけるかは地域の皆さんが求めているニーズと提供しているサービスが合致しているかにかかっています。
お客様が何を求めてカフェに来ているのかをしっかりとリサーチして把握し、メニューや店作り、サービスに反映させることで安定した収益につなげられる可能性が高くなります。
地域の人とのつながりを大切にする
都会のドライな人間関係に慣れていると、お客さんや地域の人との深い関係や余計な詮索は不要と思っている人も多いかと思います。
しかし田舎でカフェを出店するのであれば、地域の皆さんとの交流やつながりはお店を成功させるためにとても重要になります。
カフェの経営だけでなく、町内会のイベントや催しにも積極的に参加する、困っている住民がいれば手を差し伸べお手伝いする、このような地道なつながりで信頼を得られ、「この人のお店なら行ってみよう」という気持ちになってもらい他の人に宣伝もしてくれるということは少なくありません。
また、自分自身も知り合いのいない田舎に移住することに不安や孤独を感じる中でこのように交流を深めていくと、精神的にも安心しカフェの経営も頑張って行こうという気持ちは強くなるでしょう。