地域が弱っている今、何を優先すべきか

公民館の隣地活用について、

  • 世代間交流ができる菜園を作る案
  • 子どもが通年遊べる山を作る案

という2つの意見が出ています。

どちらも地域を良くしたいという思いから生まれた前向きな案です。
特に菜園は、世代間交流や食育につながる理想的な取り組みに見えます。

しかし、地域の現状を冷静に考えると、「理想的かどうか」よりも、確実に継続できるかを最優先に判断する必要があります。

菜園は「続けば素晴らしい」が、前提条件が多い

世代間交流型の菜園は、次の条件がそろって初めて成立します。

  • 子どもが継続的に集まること
  • お世話をする大人が複数人いること
  • 年間を通じて管理・作業が続くこと

現状では、子ども食堂が継続している間は有効活用できる可能性があります。
しかし、もし将来、子ども食堂の継続が難しくなった場合、

  • 子どもを集める人がいなくなる
  • 世話役の大人も集まらない
  • 結果として菜園が荒れてしまう

という事態が十分に想定されます。

「続かなかった」という結果が地域に与えるダメージ

菜園が継続できなかった場合の問題は、単に「畑が荒れる」ことではありません。

「やっぱり、この地域は何をやってもダメだ」

という認識が、地域の中に強く残ってしまうことです。

長い年月をかけて

  • 空き家が増え
  • 商店が閉店し
  • 人のつながりが薄れてきた地域

では、失敗体験そのものが、次の挑戦を奪ってしまうことがあります。

だからこそ、弱り切っている地域では「失敗しないこと」自体が、最も重要な価値になります。

「子どもが通年遊べる山」案の特徴

一方で、山を作る案は性質が大きく異なります。

初期投資は必要だが、その後は低維持

  • 造成などの初期投資は必要
  • しかし完成後は
    • 年に数回の草刈り程度
    • 日常的な管理や運営は不要

さらに、子どもたちの利用頻度が高くなれば、踏み固められて草が生えにくくなり、実質的に管理が不要になる可能性もあります。

子どもが「勝手に」集まる場所になる

山の最大の強みは、

  • 大人が集めなくても
  • 企画をしなくても
  • 世話役を配置しなくても

子どもたちが自然に集まって遊ぶことです。

これは、人的リソースが不足しがちな地域にとって、非常に大きな利点です。

四季を通じて使える

  • 春・夏:走る、転がる、探検する
  • 秋:落ち葉遊び、自然体験
  • 冬:ソリ遊び、簡易スキー

特別なイベントを企画しなくても、季節ごとに遊び方が変わり、通年で活用できます。

菜園と山を「地域経営」の視点で比較する

観点菜園
初期投資
維持管理人手が必要ほぼ不要
継続条件担い手・企画利用されるだけ
子どもの関わり大人主導子ども主体
失敗リスク高い低い
成功体験不安定積み上がりやすい

弱っている地域に必要なのは「資産を増やす発想」

地域が弱っている時に必要なのは、人の善意や頑張りに依存する取り組みではなく、

**作ってしまえば、自然に使われ、自然に続く「地域の資産」**です。

山はまさに、

  • 人が頑張らなくても
  • 維持管理に追われなくても
  • 失敗しにくい

という特性を持った資産になります。

まずは「確実に続くもの」から積み上げる

世代間交流の菜園は、地域に力が戻ってからでも遅くありません。

まずは、

  • 地味でも
  • 手間がかからず
  • 確実に成功体験になる

取り組みを積み上げることが重要です。

弱り切っている地域では、
「理想的な取り組み」よりも、
確実に続き、地域の自信につながる施策を優先すべきです。

「子どもが通年遊べる山」は、その第一歩として、現実的で持続可能な選択肢だと考えます。