最近、東京など都市部でのエンジニアとしての働き方に疲れ、「地方に移住したい」というエンジニアの人が増えています。また、大手企業の本社も地方に移転する例や、Uターンを希望する人も年々増加しています。田舎でも都会と変わらないインターネット環境が整った今、「地方移住」という選択肢がより現実的になっているようです。
そこで今回の記事では、エンジニアが地方移住することのメリット、進め方、移住にあたっての具体的な手順、そして成功事例を紹介しながら、エンジニアの地方での生活とキャリアの両立方法について詳しく解説していきます。都会での慌ただしい生活から一歩離れて、地方のゆったりとした生活を手に入れたい方、自然に囲まれた環境で生活しながら、これからエンジニアとしてのキャリアを維持・向上したい方に向け、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
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エンジニアが地方で暮らすメリット
エンジニアが地方移住し、地方エンジニアとして働いて生活することの主なメリットを紹介します。
自然豊かな環境での生活
都市部での生活と比較して、地方の環境は圧倒的に自然豊かです。移住先のエリアによって、アウトドアが趣味のエンジニアにとっては、週末に気軽にキャンプや釣り、登山が楽しめるという魅力もあります。子育て世帯にとっても子どもがのびのび育つ環境を提供できるでしょう。
家賃や生活費の安さ
都市部と比べて、地方では家賃や生活費が大幅に安くなることが一般的です。家賃相場の低さから広い家や庭付きの物件も借りやすく、ペットとの生活や家庭菜園など、ライフスタイルの幅が広がるでしょう。また、生活費を抑えられる分、趣味や自己投資に余裕も増えます。
コミュニティのつながり
地方の特徴として、地域コミュニティが都市部に比べて密で強い傾向にあります。ご近所付き合いが盛んで、地域イベントの開催も多く、参加することで移住者でも地域に受け入れられやすい環境となる可能性が高いでしょう。田舎の人間関係というと煩わしいという印象を持つ人もいるかと思いますが、新しい人間関係を築くことで、仕事だけでなく生活全般に豊かさが感じられるでしょう。
ワークライフバランスの向上
都市部では満員電車の問題や通勤時間が長いことでのストレスがかかりやすく、働く時間と自由時間のバランスが難しいことが多いです。 一方で地方では通勤のストレスが軽減され、より自由な時間が確保されやすくなります。通勤時間を減らし、プライベートの時間を充実させることで、心身の健康維持にもつながります。
エンジニアの地方移住の手続き
インフラやサービスの充実度
地方には都市部に比べ、スーパーやコンビニ、病院などのインフラが少ない場合があります。 特にインターネットの通信環境はエンジニアにとっては重要です。地域によって差があるため、移住前にしっかり調査を行うことが必要です。不便な場所も多く、車を持つことを前提とした生活設計が求められます。
仕事の選択肢の少なさ
リモートワークの普及により、住む場所に捉われずに働ける環境が整いつつあるとはいえ、地方では都市部と比べてIT企業やエンジニア職といった職種の求人の数が少なく、就職や転職がしにくい傾向にあります。都市部への出張が必要なケースもあり、完全なリモートワークを希望する場合には注意が必要です。
地方移住に向けた準備のポイント
仕事の確保
現在、リモートワークが可能な会社に勤務している場合は、社長やチームメンバーとよく話し合い、地方移住後の働き方について理解を得ることが重要です。また、フリーランスとして活動している場合、インターネット環境が整った場所を選ぶことが前提となります。 案件の確保に加え、支払い面や契約形態も移住前に確認しておきましょう。
住まいの選定
移住先を選ぶ際は、地方ごとの生活環境や気候、インフラ、周辺施設の充実度を確認することが重要です。候補地が絞られたら、実際に現地に足を運んで、雰囲気や利便性を確認しましょう。住居の選定に関しても、賃貸物件だけでなく「お試し移住」等の支援制度を活用することもおすすめです。
地域の情報収集
地方では、地域コミュニティとの関わりが生活を豊かにする鍵となります。自治体や地域のSNSグループ、移住者向けのオンラインイベントなどを積極的に活用して情報収集を行い、地域の特色や生活のしやすさを確認しましょう。
地方移住後のエンジニアのキャリア形成方法
リモートワークでスキルの維持・向上
地方移住後もエンジニアとしてのスキルを維持・向上させるために、オンライン講座や勉強会、資格の取得など努力することが大切です。 リモートワークの中で技術力を活かすプロジェクトに参加し、自分自身のスキルアップやキャリアアップを考えることが可能です。
ローカルビジネスとのコラボレーション
地方には、地域ならではの課題やニーズがあります。 地方企業や地域のNPOと連携し、地域活性化を目的としたプロジェクトに参加することで、地元に貢献しながらキャリアの幅を広げ、地域に密着したビジネスに携わることで、独自の経験を積むことが可能です。
コワーキングスペースの活用
最近では、地方にもエンジニアやクリエイターが集まっているコワーキングスペースが増えてきました。同業者との交流の場を作り、定期的に情報交換や勉強会を行うことで、都市部にいる場合と同じ様に最新の技術や知識を得ることが可能です。
地方移住の成功事例
事例1:家族とともに長野へ移住したエンジニアAさん
家族とともに長野県へ移住したAさんは、リモートワークが可能なIT企業での勤務を続けながら、地元のIT関連団体と連携して地方イベントを企画するなど、地域に密着した活動を行っています。自然に囲まれた環境で子育てを楽しみつつ、都会と変わらない技術力を維持しています。
事例2:地方のベンチャー企業に転職し、地方創生に貢献するBさん
地方創生を目指すベンチャー企業に転職したBさんは、地方の課題解決を目指したシステム開発に目を向けています。地域のニーズに合ったプロダクト開発をし、地元の経済活性化にも貢献しています。
未経験から地方移住しエンジニアを目指す場合のステップ
地方でのエンジニア職は、年齢にもよりますが未経験の状態では採用が難しいでしょう。未経験からエンジニアを目指し地方移住を検討している方にとって、「どこで何を学べば良いのか?」「地方でエンジニアとして働けるのか?」といった疑問は多いと思います。以下、地方移住を実現するための手順やポイントについて詳しく解説します。
未経験からエンジニアを目指す場合、まずはスキルの習得が必要です。そのためには、適切な学習手段の選択と計画的なスキルの習得が鍵となります。
ステップ1:学習スタイルを決める
地方移住前にエンジニアとしての基礎を身に付けておくことが重要です。オンラインでの学習が一般的ですが、地方にはエンジニア向けのサポートが少ないため、全国どこにいても学べるオンラインを中心に考えると良いでしょう。
■オンラインスクールを利用する
現在は多くのプログラミングスクールがオンラインで受講でき、講師によるサポートが受けられます。オンラインスクールでは、プログラミング初心者向けの基礎講座や、プロジェクトベースの学習カリキュラムが用意されており、実践的なスキルを習得できます。
<おすすめのスクール例>
TechAcademy、DMM WEBCAMP、CodeCampなど。
メリット:個別指導や課題提出ができるため、つまずいたときにサポートが受けられ、モチベーションを意識しながら学習を進められます。
■無料学習プラットフォームを利用する
ProgateやUdemy、YouTubeなど、無料・低価格で簡単に基礎的なプログラミングを学べるプラットフォームもたくさんあります。まずはこれらでプログラミングに慣れ、オンラインスクールの受講準備を整えるのが効果的です。
メリット:コストを抑えて学べること。自分のペースで試しながら進められるため、初心者でも安心して取り組めます。
ステップ2:正しい内容を学ぶ
未経験からエンジニアになるためには、まずフロントエンドかバックエンド開発のどちらかに絞り、基礎を固めるのが重要です。以下は、特に初心者が地方でも話しやすいエンジニアスキルです。
■フロントエンド開発
HTML/CSS:ウェブサイトの基礎構築に欠かせない言語。ウェブページのレイアウトやデザインの知識を学びます。
JavaScript:ウェブページにインタラクティブな要素を書き直すための言語。Web制作の基本スキルを身に付けられます。
学ぶメリット: 地方での小規模なウェブ制作や企業のHP作成、地域プロジェクトに関わる案件にも応用しやすいスキルです。
■バックエンド開発
PHP、Python、Ruby:ウェブサービスのサーバーサイド開発で利用される。 特に地方では、WordPressを使ったサイト構築や保守的な案件が多いため、PHPを学ぶと即戦力として活躍できる可能性が考えられます。
データベース(MySQLなど):データを管理するためのスキル。バックエンドエンジニアとして必須の知識です。
学ぶメリット: 地方でも特にサーバー管理や企業の業務システム開発に携わる仕事が多いため、必要が高いスキルです。
■クラウドの基本知識
AWSやGCP、Azureなどクラウドの基本運用は、リモート業務に強みを発揮するため、地方でも活用することができます。特にAWSの認定資格は、企業でのリモート業務を行う上でアピールできる資格となります。
ステップ3: 地方での就職や案件を探す
地方ではエンジニアの求人が限られているため、東京を中心とした都市部の企業のリモートワーク案件を探すという選択もあります。
■リモートワークが可能な企業を選ぶ
リモートワーク対応の企業を中心に探すことで、地方に在住していても継続して働きやすくなります。エンジニアとしてのポートフォリオやGitHubアカウントを作成し、スキルをアピールしましょう。
■フリーランス案件を活用する
クラウドワークスやランサーズなどのフリーランス向けプラットフォームでは、Web制作やシステム構築の案件が多く見つかります。地方でフリーランスとして活動する場合、これらのサービスを利用して案件を探し、実務経験を積み、案件を定期的に獲得できる可能性があります。
■地方での起業支援制度を活用する
地方自治体では、不足しているIT業界の人材確保や地方創生を目指した支援制度を設けている場合があります。IT関連のスタートアップ支援や人材育成補助金なども多くあるため、起業や事業展開を検討している場合は地元の支援制度も活用しましょう。
まとめ
以上のように、エンジニアとしてのスキルを活かして成長し、地方での生活を楽しむことは十分可能です。 地方移住にはメリットもありますが、デメリットや課題も残されています。それらを把握し、しっかりと準備をすることで自然に囲まれた環境での生活とキャリアの両立が実現できます。リモートワークが普及した今、都市部にこだわらない働き方を検討し、自分に合った地方での新しい生活をしてみてはいかがでしょうか?