地方の人口減少は、もはや一時的な現象ではありません。
東京一極集中が続く中、東京の人口は増え続ける一方で、地方の人口は構造的に減少を続けています。これは、個々の自治体や地域団体の努力だけで止められる問題ではありません。
だからこそ、これからの地域活性化には、従来とは異なる視点が必要です。

目次
- 1 人口減少は「止める」のではなく「最小化する」段階に入っている
- 2 ネット社会における「地域内格差」という見えない問題
- 3 スマホ・パソコン相談会は「IT施策」ではない
- 4 「都会に勝つ」のではなく「負け続けない地域」をつくる
- 5 高齢者のネットリテラシー向上は「時間をかける」ことが正解
- 6 静かだが確実な「地域防衛」としての取り組み
- 7 ハード配布では地域は変わらない
- 8 なぜ「パソコン配布」は定着しなかったのか
- 9 畑直が目指したいのは「全国でもネットリテラシーの高い地域」
- 10 ネットリテラシーとは「生活を守る力」
- 11 小さな成功体験を、時間をかけて積み重ねる
- 12 相談会は「教える場」ではなく「関係が続く場」
- 13 畑直が積み重ねる、静かだが確かな価値
人口減少は「止める」のではなく「最小化する」段階に入っている
多くの地域活性化策は、
- 移住者を呼び込む
- 観光客を増やす
- 地域資源を外に発信する
といった「外から人を呼ぶ施策」を中心に展開されてきました。
これらは今後も重要ではありますが、現実問題として、すべての地域が人口増加に転じることは不可能です。
これからの地域づくりに求められるのは、
- 人口減少を前提にする
- それでも地域が崩壊しない構造を作る
- 将来に対する不安を少しずつ減らす
という「守りを含めた地域活性化」です。
ネット社会における「地域内格差」という見えない問題
現代社会では、ネットを通じて得られる情報は全国共通です。
行政手続き、支援制度、医療・防災情報、買い物手段――
情報へのアクセス環境自体は、都会と地方でほぼ差がありません。
しかし、ここに大きな問題があります。
地方では高齢者の割合が高く、ネットを十分に使えない人が多い。
この結果、同じ地域に住んでいても、
- 必要な制度を知らない
- 行政手続きが分からない
- 誤情報や詐欺に巻き込まれやすい
- 「分からないから諦める」
といった 情報格差による生活の質の差 が生まれています。
これは人口減少以上に、地域の将来に深刻な影響を与えかねません。
スマホ・パソコン相談会は「IT施策」ではない
地域活性化策として、スマホ・パソコン相談会を実施する目的は、単に「操作方法を教えること」ではありません。
表面的な効果
- スマホの基本操作が分かる
- ネット検索ができるようになる
- LINEや行政情報を確認できる
本質的な効果
- 公民館に人が集まる理由が生まれる
- 「分からない」と言っていい空気ができる
- 住民同士の会話が生まれる
- 地域の中に役割が生まれる
つまり、スマホ・パソコン相談会はコミュニティの希薄化を食い止める装置でもあります。
高齢者にとって「用事があるから外に出る」「誰かと話す理由がある」ことは、孤立防止や健康維持の面でも非常に大きな意味を持ちます。
「都会に勝つ」のではなく「負け続けない地域」をつくる
人口規模や経済力で都会に勝つ必要はありません。
しかし、
- 情報にアクセスできる
- 手続きが自分でできる
- 困った時に調べられる
- 騙されにくい
こうした 生活防衛力 において、地方が劣る必要もありません。
ネットは数少ない、人口や立地に左右されにくいインフラです。
だからこそ、高齢者がネットを使えないまま放置されることは、地域にとって大きな機会損失でもあります。
高齢者のネットリテラシー向上は「時間をかける」ことが正解
高齢者を対象とした取り組みは、即効性を求めると失敗します。
- 一度で覚えなくていい
- 完璧に使えなくていい
- 少し分かるようになれば十分
大切なのは、
- 誰に聞けばいいか分かる
- 分からないことを放置しない
という環境を地域の中に作ることです。
ネットリテラシー向上は、スキル教育ではなく将来不安を減らすためのセーフティネットなのです。
静かだが確実な「地域防衛」としての取り組み
スマホ・パソコン相談会は、派手な成果が見えにくい取り組みです。
しかし、
- 孤立を防ぐ
- 詐欺被害を減らす
- 行政不信を和らげる
- 「この地域で暮らしても大丈夫」という感覚を残す
こうした積み重ねは、地域が壊れていくスピードを確実に遅らせます。
人口減少時代の地域活性化とは、「人を増やすこと」だけではありません。
今住んでいる人が、安心して暮らし続けられる地域を守ること。
そのための地道な取り組みこそが、これからの地域活性化の本質ではないでしょうか。
ハード配布では地域は変わらない
畑直が「ネットリテラシーの高い地域」を目指す理由
かつて、旧山田村では全戸にパソコンを配布するという先進的な取り組みが行われました。
当時の小渕恵三首相が視察に訪れるなど、全国的にも注目を集めた施策でした。
しかし、あくまで個人の考えですが、ハードウェアの配布そのものは、地域活性化としてはナンセンスだったと思っています。
なぜ「パソコン配布」は定着しなかったのか
パソコンを配れば、地域がIT化する。
当時は、そう考えられていた時代背景も理解できます。
しかし現実には、
- 使い方が分からない
- 分からないことを聞く相手がいない
- 目的が無いまま電源を入れなくなる
という状況が多くの地域で起きました。
問題は、機械が無かったことではなく、「使い続けられる環境」が無かったことです。
ハードは時間とともに陳腐化します。
一方で、リテラシーは一度身に付けば、端末が変わっても活かし続けることができます。
畑直が目指したいのは「全国でもネットリテラシーの高い地域」
畑直が目指したいのは、
- パソコンやスマホを配る地域ではなく
- ネットリテラシーが自然と根付いている地域
です。
「畑直のおじいちゃん、おばあちゃんは、そんなことまでスマホでやっているの?」
と、全国から驚かれるような地域になれたら素敵だと思います。
それは決して、
- 難しい操作を完璧にこなす
- 若者並みにITを使いこなす
という意味ではありません。
ネットリテラシーとは「生活を守る力」
高齢者にとってのネット活用は、便利さ以上に 生活を守る力 になります。
例えば、
- 行政からのお知らせを自分で確認できる
- 詐欺や怪しい情報を調べて判断できる
- 家族や地域と気軽につながれる
- 困った時に「調べる」という選択肢を持てる
これだけでも、日常の安心感は大きく変わります。
重要なのは、「使いこなす」ことではなく使うことを怖がらなくなることです。
小さな成功体験を、時間をかけて積み重ねる
もちろん、ほとんどの住民が高齢者である以上、簡単に進む話ではありません。
- 覚えるスピードには個人差がある
- 何度も同じ質問が出る
- 一度覚えても忘れてしまう
それで良いと思っています。
- 写真が撮れた
- LINEで連絡ができた
- 市役所のページを見られた
そんな 小さな「できた」 を積み重ねていくことが大切です。
一度で理解してもらう必要はありません。
少しずつ、簡単な使い方から伝えていけば良いのです。
相談会は「教える場」ではなく「関係が続く場」
スマホ・パソコン相談会は、
- 教室
- 講座
- 勉強会
である必要はありません。
「分からなくなったら、またここに来ればいい」そう思える場所であることが、何より重要です。
公民館に人が集まり、顔を合わせ、「最近どう?」と声を掛け合える。
それ自体が、コミュニティの維持につながります。
畑直が積み重ねる、静かだが確かな価値
この取り組みは、短期間で成果が数字に表れるものではありません。
しかし、
- 孤立を防ぐ
- 不安を減らす
- 情報格差を縮める
- 「この地域で暮らせる」という実感を残す
という点で、確実に地域を支えます。
ハードを配るのではなく、人の中に残る力を育てる。
それが、畑直が目指す地域の姿であり、人口減少時代における、現実的で持続可能な地域活性化だと考えています。

