近年、都会から田舎へ移住する人が増えています。自然豊かな環境での生活は、ストレスを軽減し、生活コストも抑えられるため、より多くの人が興味を持つようになっています。しかし、移住を考える際に多くの人が直面するのが「田舎でどうやって仕事を見つけるか?」という問題です。

今回の記事では、田舎でできる具体的な仕事やそのメリット・デメリット、実際に仕事を探すためのコツについて詳しく解説します。田舎への移住し就職や起業を検討している方や、地方でのキャリアを考えている方はぜひ参考にしてください。

地方の就労状況の現状

地方における就労状況は、地域や業種によって大きな差がありますが、全体としては労働力不足と産業構造の偏りが顕著な特徴として挙げられます。

労働力不足と高齢化

多くの地方では、若者の都市部への流出により、労働人口の減少が深刻です。特に、農業・林業・漁業や製造業といった地域産業では、高齢化が進む中で後継者不足が課題となっています。これにより、一部の産業では慢性的な人手不足が続いており、生産性の低下や事業の縮小を余儀なくされるケースもあります。

産業構造の偏り

地方では一次産業や中小企業が経済の中心となることが多く、特に都市部と比べてサービス業やIT産業といった新興分野の雇用機会が限られています。また、観光業が盛んな地域では、季節によって雇用が不安定になることもあります。このような産業構造の偏りは、求職者にとって選択肢の狭さを意味し、都市部に比べて就業の自由度が低いと感じる人も少なくありません。

雇用環境の変化

一方で、近年はリモートワークの普及や地域活性化政策の影響で、地方にいながらパソコンとオンラインの環境が整っていれば、都市部や国外の企業とつながる働き方も増えつつあります。また、地域資源を活用した新たな事業やスタートアップが生まれるなど、地方経済の活性化に向けた動きも見られます。こうした環境の変化は、特に若者や移住者にとって新しい就労機会を提供しています。

田舎でできる仕事の種類

田舎でもできる仕事は多岐にわたります。以下は代表的な仕事の業種について紹介します。

農業・林業・漁業・畜産業

田舎で働くといえば、まず思い浮かぶのが第一次産業です。農業、林業、漁業は自然と密接に関わる仕事であり、地域の特産物を生産する重要な役割を担います。

農業:米や野菜、果物などを育てる仕事。特に有機農業や地産地消のニーズが高まっています。

林業:木材を生産したり、山林の管理を行う仕事。国や自治体からの補助金を活用できる場合もあります。

漁業:沿岸部での漁業や養殖業。地域特有の水産物を取り扱うことが多いです。

これらの仕事は地域に根ざした活動が多く、補助金や助成金の対象になることも多い点が魅力です。

畜産業:牛や豚、鶏などの家畜を飼育し、肉や乳製品、卵などを生産する仕事です。地域の特産品として高品質な畜産物を提供することで、全国的に高い評価を得ているケースも多く見られます。

観光業・地域振興

田舎の観光資源を活用した観光業も有望な選択肢です。特に、近年はインバウンド需要や国内旅行の見直しが進んでおり、観光地の価値が再評価されています。

宿泊業:民宿やゲストハウスの運営、観光客向けの宿泊施設を提供する仕事。民泊も人気です。

観光ガイド:地域の魅力を伝えるための観光ガイドや体験プログラム、ツアーの提供。

地域振興プロジェクト:地方自治体やNPOが主導する地域活性化の仕事。祭りやイベントの企画・運営も含まれます。

リモートワーク(テレワーク)

近年のIT技術の進化により、リモートワークが広がっています。どこにいてもインターネット環境さえ整っていれば、多様な職種で働くことが可能です。

ITエンジニア・プログラマー:アプリやシステム開発、ウェブサイトの構築など。

ライター・翻訳者:コンテンツ制作や文章の翻訳業務。

デザイナー:Webデザインやグラフィックデザインの仕事も、完全リモートで行えます。

リモートワークは地域に縛られず、全国・全世界の企業と仕事ができるため、都心と同等の収入が得られる可能性があります。

地元の中小企業での勤務

田舎には地元の中小企業が多く存在し、これらの企業での勤務も選択肢の一つです。製造業やサービス業、地域の商店などがあり、地域に根ざした働き方ができます。

製造業:地域の特産品を生産・加工する工場での勤務。

サービス業:カフェ等の飲食店や小売店、地元のスーパーなど。

介護職

田舎では、介護職も重要な仕事の一つです。高齢化が進む地方では、介護を必要とする高齢者の数が増加しており、介護施設や訪問介護サービスの需要が高まっています。そのため、介護職は安定した雇用が期待できる職種です。

介護職の主な業務には、食事や入浴のサポート、リハビリの補助、日常生活の見守りなどがあります。特別な資格が必要な場合もありますが、未経験からでもスタートできる職場が多いのも特徴です。また、資格を取得すれば、給与の向上やキャリアアップの可能性も広がります。

介護業界では、地域密着型のサービスが重視されるため、地元住民との交流を通じて地域社会の一員として活躍できるやりがいも感じられます。さらに、地方自治体や介護施設が提供する研修や支援を活用すれば、スキルアップも目指せます。

もちろん、看護師などの医療系の資格を持っている場合も需要が高いでしょう。

YouTuber・インフルエンサー

田舎でYouTuberやインフルエンサーとして活躍する人も非常に多いです。インターネット環境さえ整っていれば、都会と同じように動画やSNSコンテンツを発信できるため、地域に縛られることなくグローバルな視聴者やフォロワーを獲得することが可能です。

田舎ならではの自然豊かな風景や、地元の特産品、伝統文化をテーマにしたコンテンツは、視聴者から高い関心を得やすいジャンルです。また、地元企業や自治体とのコラボレーションを通じて、観光PRや商品プロモーションを手掛けることで、収益の幅を広げることも可能です。

さらに、都会に比べて生活コストが低いため、収益の一部を設備投資や広告費に回しやすいのもメリットです。学歴や年齢も関係なく、田舎での生活を活かしながら、独自のクリエイティブな活動を通じて安定した収入を得る方法として、YouTuberやインフルエンサーは非常に有望な職種と言えるでしょう。

田舎で働くことのメリットとデメリット

田舎で働くことには多くのメリットがありますが、同時にさまざまなデメリットも存在します。地方移住を検討する際には、それぞれをしっかりと理解し、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った選択をすることが、移住に対する不安を軽減し成功させるために重要です。

メリット

生活コストが低い

田舎での生活の最大の魅力は、生活コストが都市部よりも圧倒的に低いことです。家賃や光熱費、食費など、生活の基本的な支出が抑えられるため、同じ収入でも余裕を持った暮らしが可能です。田舎は空き家となっている古民家も多いため、安く購入し自分たちでリノベーションすることも人気です。特に、農業や畜産業、酪農などに従事する場合、自給自足の生活を取り入れることでさらに支出を減らすことができます。

自然豊かな環境

田舎暮らしでは、自然に囲まれた生活を送ることができます。山や海、広い空など、都会では味わえない景観が日常の一部となり、心身のリフレッシュにつながります。また、休日にはアウトドア活動や家庭菜園、釣りなど、自然を活かした趣味を豊富に楽しむことができ、ストレスの軽減にも効果的です。自然と触れ合えることは、子育ての面でもおすすめの理由によく挙げられます。

地域コミュニティの強さ

田舎では人と人とのつながりが強い傾向にあるため、地域社会の一員として深い交流が可能です。困ったときにはお互いに助け合う風土が根付いており、安心感を持って生活できます。また、地域の行事やイベントに参加することで、より密接な関係を築くことができます。

働き方の選択肢が広がる

リモートワークが普及したことで、田舎でも都市部と同じようにIT系やクリエイティブ系の仕事に従事することが可能になりました。さらに、地元資源を活用した起業や、観光業、農業など、地域特有の産業に挑戦するチャンスもあります。

デメリット

仕事の選択肢が限られる

田舎では、都市部ほど多様な仕事がないことが一般的です。特に、IT関連や専門職、クリエイティブ系の仕事は都市部に集中しており、田舎では限られた職種に就く可能性が高くなります。また、求人自体が少ないため、自分のスキルやキャリアに合った仕事を見つけるのに時間がかかることもあります。

交通の不便さ

公共交通機関が十分に整備されていない田舎では、車が必須となることが多いです。バスや電車の本数が少なく、通勤や日常の買い物、医療機関へのアクセスに不便を感じることがあります。また、冬季には雪や路面凍結による移動の制約が発生する地域もあります。

プライバシーの制約

地域社会のつながりが強い一方で、プライバシーが制約される場面もあります。日常の行動が周囲に知られやすく、都会に比べて気軽な生活がしにくいと感じる人もいるでしょう。このような環境に馴染むためには、地域の文化や風習を理解し、適応することが求められます。

医療や教育のアクセス

移住先の場所によっては医療機関や教育施設の数が限られていることも、田舎で生活する上での課題です。病院までの距離が遠い、専門的な医療が受けられないといった不便さがあります。また、子育て世帯の場合、教育の選択肢が少なく、進学の際に都市部への転居を検討しなければならないケースもあります。

田舎での仕事探しを成功させるためのコツ

地域の情報をリサーチする

移住を考える際は、まず移住予定地の産業構造や転職サイト、求人サイトなどを使って現地の人情報をリサーチしましょう。自治体の移住支援サイトやハローワーク、地域の求人情報誌が役立ちます。

補助金や助成金を活用

地方では移住者や新規事業者を対象とした補助金・助成金制度が充実しています。これらを活用することで、起業や新しい仕事を始める際の資金負担を軽減できます。

地元ネットワークを活用する

田舎での仕事探しは、地元のネットワークが大切です。地域の人々との交流を通じて、表には出ていない求人情報や仕事の機会を得ることができます。地元のイベントやコミュニティ活動に参加して人脈を広げましょう。

Uターン・Iターンを活用する

田舎での仕事探しでは、Uターン(地元に戻る移住)やIターン(地元以外の地方に移住)を活用することも効果的です。地方自治体や企業は、こうした移住者を積極的に受け入れる体制を整えていることが多く、特にUターンでは地元に馴染みやすいメリットがあります。

Uターン・Iターンの希望者向けに、専用の就職相談会やマッチングイベントが開催されている地域もあり、こうした機会を利用することで効率よく仕事を見つけることが可能です。また、自治体によっては移住支援金や住宅補助などの特典も用意されています。

地域おこし協力隊に参加する

地方での働き方として注目されているのが、地域おこし協力隊です。これは、都市部からの移住者を地方自治体が一定期間雇用し、地域活性化に関わる活動を行う制度です。任期は通常1~3年で、期間中の給与や住宅費の補助が支給されるため、安定した収入を得ながら地域での生活に慣れることができます。

活動内容は地域によって異なり、観光振興、特産品の開発、農業支援など多岐にわたります。任期終了後も、地域に定住して独立してフリーランスとして働きたい人や起業を目指す人も多く、地方でのキャリア形成における足掛かりとしても有用です。

条件や申請方法など、詳細は各自治体の窓口やホームページにてご確認ください。

まとめ

以上のように田舎でできる仕事は、農業や観光業、リモートワークなど多岐にわたります。自身のスキルや興味に合った仕事を見つけることで、自然豊かな環境での充実した生活が実現可能です。また、補助金や地方移住を推奨する自治体の取り組み、地域のネットワークを活用することで、田舎でのキャリアをより安定させることができます。

田舎への移住を考えている方は、上記で紹介したデメリットもチェックし、まず自身の希望する生活スタイルを明確にし、それに合った仕事を探してみましょう。

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